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佐幸小説。

前サイトからの転載。

ほのぼの。



「旦那、無茶しないでくださいよ」

自室の、布団の上。
湯浴みを終え、寝衣に身を包んだ某は、佐助に怪我の手当てをされていた。

「無茶…は、してない…」

「嘘。あんな大勢相手に鍛錬だなんて、無茶以外の何だって云うんです」
背中や頬の、覆いの無いところに出来た傷は、かすり傷だけれど…。

「某はもう、子供じゃないぞ?
 このくらいの傷が怖くて、何ができる。
 そもそも、戦に出れば、今日の鍛錬だって未だ温いわ」

少し反抗してみせたら、薬を塗ろうとする手を止めて、佐助がこっちを見つめる。

…少し、怒ってる…きがする。

「あんたねぇ。
 俺は、そんなコト云ってんじゃないんですよ。
 俺が嫌なんです」

あんたに傷が出来るのが。

そう云って、顎を掴まれる。
驚いていると、スッと顔を寄せてきた佐助の舌が、頬の傷を舐め上げた。

「…んッ…」

少し滲みて、眉をひそめる。

顔を離した佐助と、眼が合う。

少しだけ見詰め合って、佐助が動くのが、空気のかすかな動きで解ったから、眼を閉じた。

優しい口付けなのに、血の味がした気がするのは。
自分の傷を舐めた所為なのか、それとも、佐助自身から感じられる、狂気じみた愛情の味なのか。




「佐助は、どうなのだ」

結局、あのまま二人で布団に崩れた。

最中、何度も身体に出来た傷を舐められた。
裂けた皮膚から、佐助の唾液が滲みこんで来る気がした。

「どうって…何が?」

「佐助は、無茶はしないのか?
 某には無茶するなと言っておるが…」

「しますよ。俺は。」

布団の中で、某の髪を梳くように撫でながら。

「それでは、ずるいではないか!」

「ずるくなんか無いですよ。
 俺は、あんた守る為に居るんですから」

「でも…」

「俺は、あんたの為だけに傷を負って、あんたの為だけに死ぬ。
 そう、約束したんじゃないの。
 忘れた?」

小さく首を横に振る。

「でも…、某だって」

佐助は、ん?という顔をする。

「お前が傷を負うのは嫌だ。
 その為に、某自身、強くなりたいのだ…」

そう云うと、少し困った顔をした佐助が、某の頭をぎゅっと胸に抱きこんだ。

「嬉しいけど…。でも、それでも、嫌なんだよね…。
 我侭な部下でごめんね」

きっと、こやつは、某の為に傷を負い、そして、死ぬのだろう。
それでも。

手放せないのは、我侭な部下よりも、もっと、我侭な上司の所為なのだけど。


***我侭な君と僕。



終。



俺の中では、常にこのくらいアマアマなんですが、実際書いてるのは暗いのが多い(汗)

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