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佐幸小説。

前サイトからの転載。

ぬるい描写あり。





「佐助。…来い。」

旦那の声は、血を含んでる。

あぁ、戦前だからね、と。
だから、俺が呼ばれた理由もすぐに解った。
ホント云うと、呼ばれる前から解ってたけど。




流 る る 夜 風 の 先 に て。




屋根裏から、音を起てずに旦那の寝室に現れる。

「お呼びで?旦那」

着物を纏い、布団に横になり、向こうを向いている。
いつも大体こんな感じ。
自分から、頼むのは気恥ずかしくてこっちは向けないだろうけど。

「眠れぬ。」

短い言葉。

羞恥と、期待と、不安と。そしてやっぱり、血を含んで。

「明日ですもんね。
 独眼竜の旦那と。」

「嗚呼。
 なぁ、佐助。
 呼ばれた理由は解っているのだろう…?
 早く…来ぬか…」

ちらりとこっちに眼を寄越す。

返事をせずに、俺は旦那の布団に近寄った。



「…ッ…」
裾を分け、手を差し込む。
もう既に、その先を知っているかのように、硬くなりつつある。
布の上からやわと擦る。
その度、旦那の髪が揺れた。




もう何年も前になるが。
初めて旦那が戦に出た時は、既に俺は旦那についていた。
その、初めての戦の前夜、旦那の寝室の上で待機していた俺に、旦那はか細く呼びかけた。

「佐助…佐助よ。
 そこにおるのだろう?」

未だ、幼いとも云えよう年頃。
戦前夜の今、恐ろしさに震えるのが、声から伝わってきた。

「はいはい。
 どしました?旦那。」

解っていたけど、「怖いのですか?」とは云わなかった。

「いいから、ちょっとこっちへ来い。」

布団に足を挿し、上半身を起こす。
傍により、すぐ横に座った。

「佐助…。眠れぬのだ…。
 明日の為にも、力をつけねばならぬのに…どうも、興奮してしまって…」
「旦那、そんなに肩に力を入れなくても、大丈夫だって。
 旦那なら、それこそ一瞬の間に大将獲れるって話。
 それに、俺も居るからさ。だいじょーぶ。
 これでも、そうとう数こなしてんのよ?俺」
にっと笑って見せると、少しホッとした表情になった。
それでも、明らかに興奮の色がみえる。

「旦那…?
 眠れる方法があるんだけど…俺やったげよっか?」

自分でも、馬鹿な事だとは思ったのだけど…。
戦前夜の興奮に煽られた旦那の放つ何かに、俺自身中てられたのだと。
それとも、初めて見たときから、この人の為に死にたいと思ったその想いに。

俺を支配したのはどちらかつかないけれど。
俺は間違いなく、旦那の為だけじゃなく、それを始めたのだ。

幼い旦那は、自慰をしたこともなく、俺の手によって初めて故意的な射精をした。
きっと、故意的でなければ何度かあっただろうが、そんな事は聞かなかった。

初めての感覚に、顔を赤らめながら、俺に縋り付いてきた旦那に、正直俺も興奮した。
しかし、俺は手によって射精をさせるだけで、それ以上何もしなかった。

欲を吐き出した旦那は、倦怠感から来るであろう睡魔に逆らう事もなく、眠りについた。

次の日、武田軍の勝利に強く貢献したのが、真田幸村であることは云うまでも無く。
それから、彼が紅蓮の炎に変わりゆくのに時間は掛からなかった。

けれど、その紅蓮であれど、戦前夜となれば、高ぶり、眠れぬ。
その度に俺が呼ばれた。
俺は、云われるままに、旦那の自慰を手伝った。




褌を取っ払うと、既にぬるりとした感触が伝わった。
「ねぇ、旦那。
 そろそろ、自分で出来るようになった方がいいんじゃない?」
自分で種を蒔いておきながら、良く云えたもんだと、自嘲した。
「でも…でも、佐助がしてくれたほうが…良い…きがする」
深い意味はないのだろうが、素直な言葉が余計に、俺を駆り立てる。
でも、俺は一度もそれ以上をしようとしたことは無かった。

それは、越えてはいけない壁なのだ。

「ふ…ふっ…あ!」
達した旦那が、肩で息をする。
「じゃ、着替え持ってくるんで、ちょっと待ってて下さいね。」
何時ものように、事後処理をしようと立とうとした時。

「ま…て…。」
旦那が俺の服の裾を掴む。

「どしたの?旦那…」

「未だ…。
 今日は…未だ…なんか……」
涙目で見上げる瞳。
『欲情』と言って間違いない、その表情。

「旦那…どうしちゃったの…。
 何時もはそんなじゃないでしょ?」
「明日の…戦の事を考えたら、収まらんのだ…」

明日は、独眼竜政宗との戦い。
何時もより、高ぶっているのだろう。

「でも、旦那…俺が出来るのはここまでだから…」

云った瞬間。
ぐい、と手を掴まれ、そのまま引かれた。

唇を、重ね合わされていると気付いたのは、少ししてから。

「だ…んな?」

「こういう事もするのであろう?
 本当は。」
「や…あの…」
「互いに裸になって、抱き合うのであろう?
 …いつも佐助は、衣を着けたままだ…。
 でも、本当は、違うのだろう…?」

壁は、越えるためにあるのだ。
いや、崩すためにあるのだ。
立場も何も、捨てることだって、なんともない。

俺は、この人の為に死ぬのだから。

初めて受け入れる幸村は、きつくて、熱かった。
今までしてこなかった接吻を、取り返すように何度も唇を合わせた。

涙目になりながら、必死で感じてくれる旦那が愛おしかった。

戦を理由にしていたのは、俺だけではなかったのかと、少しだけ自惚れた。

結局、余り動くと負担になりそうで。
手で前を扱いてやって、旦那だけ達した。

それでも、俺は。
初めて、生きていて良かったとおもった。






朝。
出陣前に、旦那が俺の処へ走ってきた。
「必ず生きて戻れ。
 某の為に」
浅い接吻の後、残された言葉。
紅い鉢巻と髪を翻して走り行く後姿が、昔から愛おしいと思っていた。






「っ…流石独眼竜の旦那の兵だねぇ。
 しつこいったらありゃしねー…」
相当、倒した筈だが、未だ未だ兵は見える。

それどころか、赤い鎧が明らかに数が減ってきていた。

戦が始まり、かなり時間が経っていた。
苦戦しているのは、明らかだった。

それでも、俺は武器を振るい続けた。
旦那が戦っている以上、俺がその手を止める理由はない。
旦那の為なら、殺すのだって、何ともなかった。

彼が生きてくれるなら、自分なんて何でもなかった。

何かの為に生きる。
自分の為に生きる。
ましてや、誰かの為に生きる。
そんなの、馬鹿のやることだ。

しかし俺も、そんな馬鹿なんだと。
今朝の旦那の台詞が、頭に蘇って来て、少し笑みが漏れた。





その刹。





風が、それを知らせた。



敵本陣。
幾つも折り重なる屍の中に。

居た。


「だんな」


優しく、抱き起こす。

接吻をしたくても、首が無かった。

大好きな紅い鉢巻も、長い髪も。

「だんな」

俺、ちゃんと生きて戻ってきたよ。

旦那の為に。

旦那の処へ。

ね。旦那。

「ずるいなぁ、旦那。
 自分だけイっちゃって。俺イってないじゃない」

へへへっと、声を出して笑った。

勝手に、涙が溢れた。

でも、それもなにも、感じなかった。

痛いとか、悲しいとか。

そんなもの、ずっと知らないみたいに。

ずっと知らないみたいに。

ずっと知らなかったみたいに。

一緒に逝きたかったな。

旦那。




終。



バットエンドですね。
俺的に、佐助が死んでも幸村は生きてるって感じなんですが…。
これは逆。
残された忍がどうなるかは、解りませんが…。
後を追うことはしないと想います。
めい一杯生きてから、幸村の元へ逝くと想います。


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